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術後1週間

2017年09月26日 18:29


こちらの施設( 老木医院 )に移って半年。

医院は南大阪なので、近くにサーフィンできるような環境はなく
サーファーズイヤーの手術を どの程度続けていけるのかと思っていましたが
これまでに手術させていただいたサーファーからのご紹介をいただき、
半年で5名9耳のサーファーの手術をさせていただきました。

お一人だけ片耳の手術でしたが、他の4人は両側の手術。

つい先週手術させていただいた方は 
お近くの和歌山からだったので
術後1周間で 状態をチェックしました。
(画像掲載について御本人の了解を得ています。)



上段が術前
下段が術後1周間の状態。

術前は両側かなり高度なサーファーズイヤーで、外耳道炎を反復する状態でした。
術後は両側とも鼓膜がよく見えるようになり、皮膚欠損部や骨面露出はありません。

術後3日目には耳内のガーゼを両方抜いて、聞こえも普通の状態で退院となりました。
術後1週間目(下段の画像)では まだ少し外耳道の皮膚の腫れがありますが
手術後の経過としては、問題ないレベル。
軟膏を塗ったあとの写真なので、少し濡れて見えますが
傷からの浸出液もほとんどなく、本日も外耳道には何も詰めずにお帰りいただけました。
このまま問題なければ、術後2週間程度でサーフィン復帰できそう。

この方、
手術前日に たまたまサーフィンしに行ったところ
以前に、たまたま私が手術させていただいた和歌山サーファーとばったり会って
「明日手術に行くよ」と話になったとのこと。
「先生によろしくって」

その方は2年ほど前に、前任地の宮崎大学まで来ていただいた方でした。
とても懐かしくもあり、
遠くの和歌山の海(新宮辺り医院からはとっても遠い! 所要3時間。)
でそんな会話がなされていることに不思議な感じがします。

このようなご縁をつないでいけることは
とてもありがたいことだと思います。
いつも全面的にサポートをしてくれる、医院スタッフに心から感謝します。



事故がないことを祈りながら。
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そんなのあるの!? 嘘みたいな合併症の話

2017年09月25日 18:26

今日は真面目な手術の話題。

Otol Neurotolという 耳科学で権威ある雑誌に
サーファーズイヤーの手術後の合併症について書かれています。

まず論文のご紹介を。

サーファーズイヤーに対する外耳道形成術後に頸部皮下気腫をきたした例
Baxter MC, Keller M, Shah A, Wise S.

患者情報
60歳の男で、繰り返す耳の感染と難聴のある方がいました。
右のサーファーズイヤーの診断で 耳の後ろを切るタイプの手術を受けた。
手術後5週間して、右の耳痛と、顔面から首の腫れを生じ、顎を動かすときのきしむような音が右耳で聞こえると訴えました。診察の結果、右外耳道の前壁が一部、逸脱し、顎関節運動とともに動くのが確認されました。さらに触診では、右顔面から頸部に捻髪音(皮下気腫を疑う診察所見)を認めました。CTでは、外耳道前壁の骨欠損と顎関節窩との連続性が認められ、これにより皮下気腫が 咀嚼筋、耳下腺周囲、副咽頭間隙に認められました。

治療 顎間固定2週間 と外耳道の再手術 (軟骨片による外耳道形成)

結果 6週間後にはすべての症状が消失。CTでは皮下気腫は消失、外耳道の上皮化が得られた。

結論 顎間固定と軟骨を用いた外耳道形成は、外耳道手術で、顎関節包露出によって生じた皮下気腫の対処法として有用である。



解説します。

外耳道(耳の穴)の前には何があるかご存知ですか?
答えは「顎の関節」です。


EAC mandi001

サーファーズイヤーの手術の際に、不用意に外耳道前方に削りすぎると、
顎関節包が露出する可能性があります。

耳の手術の術者には、
外耳道の前方に顎関節があるのは常識ですので
術者も注意していたと思うのですが、
この患者さんの場合、思ったよりも前壁が薄かった、とか、
手術中に関節が一部開放されたけど、まあ大丈夫だろうとそのままにしたのかもしれません。

この報告では 耳後切開による手術になっていますが
切開の方法もこのような合併症にいくらか関係するかもしれません。

耳後切開の手術では、耳介〜軟骨部外耳道を視野から取り去ってしまうと、
手術中に目印になるものが少なくなります。

とくに高度なサーファーズイヤーの場合、外耳道が骨性に閉鎖しておりますので
外耳道の皮膚がうまく温存できないような状況になると
極端な場合「骨しか見えない!」という状況になりえます。
こうなると、外耳道の方向を判定しようがなく、
思わず骨削除が前方に寄ってしまうことはありえます。

耳内切開では耳介〜軟骨部外耳道を通しての術野なので、
手術中、常に視野の確保に工夫が必要です。

しかし、皮膚の温存が行いやすい利点と
顎関節の方に向かって操作をしている場合には、耳介と軟骨部外耳道自体がガイドになりますので、
手術操作を加えている方向も理解しやすいように思います。
実際、耳内切開で顎関節に至るまで掘ろうと思ったら、角度的に相当に頑張らないととても難しいです。
それで、あくまでも私見なのですが、
耳内切開のほうが顎関節包露出の可能性が低いのではないかと思います。

顎関節が開放された場合、後に外耳道が上皮化すると
顎の運動とともに、耳の中の皮膚が動くのが見えるようになります。

先天性の外耳道閉鎖や、外耳道深部線維症などで 
意図的に外耳道を可能な限り広げたいという特殊なケースでなければ
普通は手術中に見えるべきではない構造です。

あるいはちょっと見えた時点で、それ以上触らずリペアすれば、
このような合併症にまではならなかっただろうと思います。

特にサーファーの場合、術後にサーフィン再開するのが前提ですので
顎関節なんかが皮下に開いていると、感染がとても心配です。

これまで自身の症例では、顎関節包が開放されたことは一度もありませんが、
さらに注意するよう努めたいと思います。


Surgical Emphysema Following Canalplasty for Aural Exostoses.
Baxter MC, Keller M, Shah A, Wise S.

Otol Neurotol. 2017 Sep;38(8):1174-1177. doi: 10.1097/MAO.0000000000001512.

Author information
Abstract
OBJECTIVE:
To describe the presentation and management of surgical emphysema involving the temporomandibular joint and deep neck following exostoses removal.
PATIENT:
A 60-year-old male surfer presented with hearing loss and recurrent infections in the right ear. An examination revealed obstructing bony exostoses in the right external auditory canal. He underwent right canalplasty using a postauricular approach. At 5 weeks after surgery, he presented with right otalgia, swelling of the right face and neck, and complaints of a squeaking noise in the right ear with mandibular excursions. An otomicroscopic examination demonstrated a focal area of prolapsing soft tissue along the anterior bony external auditory canal with mandibular movement. The examination also revealed palpable crepitus of the right face and neck. Computed tomography was obtained of the temporal bones and neck confirming a focal anterior canal wall defect allowing communication between the glenoid fossa and external auditory canal with subcutaneous emphysema tracking around the temporomandibular joint into the masticator, parotid, and parapharyngeal spaces.
INTERVENTION:
Maxillomandibular fixation for 2 weeks with revision canalplasty using a split tragal cartilage graft.
RESULTS:
At 6 weeks after revision surgery, the patient reported complete resolution of all symptoms. Repeat imaging demonstrated complete resolution of subcutaneous and deep neck emphysema, and the otomicroscopic examination revealed a fully epithelialized external auditory canal with no further evidence of soft tissue prolapse.
CONCLUSION:
Maxillomandibular fixation with autologous cartilage graft is an effective management strategy for complications of canalplasty resulting in exposure of the temporomandibular joint capsule and surgical emphysema.

検診記録:APB×JPBA Urban Research Tahara Pro 2017

2017年09月06日 11:36

JPBA TAHARA2017001

2017年9月1日(金)~3日(日)に開催された
『URBAN RESEARCH TAHARA PRO』はAPBワールドツアーの1戦
今年の日本国内での最高グレードのプロ・アマ ボディボードの大会となります。

9月3日 サーファーズイヤーの検診でお邪魔しました。

JPBA TAHARA2017002

通算9度のワールドチャンピオンに輝く 帝王Mike Stewartが来日 選手として参加されました。


Mike Stewart from Mike Stewart on Vimeo.



JPBA TAHARA2017003

検診ブースのテントは 周囲を遮光布で覆ってもらえて
とてもモニター画面が見やすく、お耳の状態を説明しやすかったです。

準備に尽力してくれたK君はじめ スタッフの皆さん、ありがとう。
すごく快適にできました。

JPBA TAHARA2017004

晴天、台風スウェルの影響で、波も抜群。風はかるいオフショア。

とにかく波が良くて大会は盛り上がり、
検診ブースにも多くのサーファーが立ち寄ってくれました。

JPBA TAHARA2017006

サーファーズイヤーについては
軟骨の盛り上がりなんでしょ? とか (☓ 軟骨ではなくて、外耳道のの盛り上がりです。) 

手術は耳の後ろを切らないとできないんでしょ? (☓ 耳の中から治療できます。)

片方ずつしか手術できないんでしょ? (☓ 両耳 同時に可能です。)

手術後2ヶ月くらいは海に入れないんでしょ?(☓ 通常2〜4週間くらいで波乗り復帰になります。)

耳栓してたら引っ込むの? (△ 皮膚炎で狭くなっている分は良くなることがりますが骨の隆起は変わりません。)

耳栓は一年中しなきゃいけないの? (△ 少なくとも冬期のフルスーツを着るような時期は予防に耳栓使用をおすすめします。春〜夏はその方のお耳の状態によります。)
など、いろいろと誤解もあり、疑問もあります。

一度に、たった一人にしかお話できませんが
一人ひとりに説明していくことで、
そのサーファーがお友達のサーファーに正しい知識を伝えてくれるように、と願っています。

同じ話を一日に何十回もします。この日は65人のサーファーに。
後はみんなよろしくね。必要な人に伝えてあげて。

JPBA TAHARA2017005

地元のサーファー以外にも各地から参加者が来られていました。

JPBA TAHARA2017007

大会最後
Mike Stewart圧巻の逆転ライディング
見たものみんなが優勝を納得する一本でした。会場からは大きな歓声があがりました。

下のリンクから大会会場の動画が見れます。

APB×JPBA Urban Research Tahara Pro 2017

6:24:50頃〜 Mike Stewartの  10点満点のウイニングライド



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